育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました

キャリーバッグに、それから指輪

2月。まだまだ冬の寒さが残っていて、外へ出るときはコートが欠かせない。
3月にはアメリカでの生活が始まる晃洋さんと、来月で3歳を迎える妃織とで、今日は出かける予定を立てていた。

やっと休みを合わせることができた私たち。
晃洋さんがアメリカへ発つ前の、最後の3人でのお出かけだ。


「妃織、早く支度して」

「えー、いやっ!」

「イルカさん見れなくなってもいいの?」

「いやっ!」


絶賛嫌々期に突入した妃織は、何に付けても「いや」で済ます。
今日だって妃織のリクエストで水族館行きが決まったものの、支度の段階でこの状況。

別に本気で嫌なわけではないとわかってはいるものの、なかなか支度が進まないまどろっこしさに、私のイライラも蓄積されていく。


「ほら妃織! 支度しないならお留守番してて」

「いやだぁ!」

「もう、ほら! これ着て!!」


嫌がる妃織を捕まえて、半ば強引に妃織のトップスを着せる。
「これ、いや」と、ついさっき自分で選んだ淡いブルーのトップスに文句を言っている妃織を無視して、瞬時に着替えを済ませた。

そんな私と妃織のやり取りを見てクスッと笑っている晃洋さんはすでに準備万端。髪も仕事へ行くときとは違って、ワックスで無造作にセットされていた。
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