育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました

守りたいーside.晃洋ー

妃織ちゃんが退院してしばらくしてから、夜中に突然スマホが震えだした。
当直の日で仮眠を取っている最中だった俺は、寝ぼけ眼で電話の相手も確認せず通話ボタンを押す。

電話の奥から聞こえた声は、慌てた様子の美優だった。電話の遠くからは妃織ちゃんの鳴き声が聞こえていて、なにかあったのだとすぐにわかった。
声が震えていて今にも泣きだしてしまいそうな美優を落ち着かせ、病院へ来るように伝え、すぐに救急外来で待機する。

2人が到着してすぐ診察をすると、所見通り蜂窩織炎だった。
『入院ができない』と言われ、無理強いをできないと思った俺は、毎日通院することを約束し2人を帰宅させた。

約束通り2人は毎日通院に訪れ、点滴投与を行なうと症状は落ち着き、妃織ちゃんは元気を取り戻した。


そして今日、妃織ちゃんと約束した水族館へ行く日。

毎日の通院のご褒美に……と、少々強引な気もしたが、それは口実。もっと2人と距離を縮めたくて提案した。
1日くらい、美優にも息抜きして欲しい。


『家の前に着いたよ』

『すみません! 妃織のトイレが終わらなくて……』

『構わない。ごゆっくり』


身支度を整えてメッセージを送信すると、妃織ちゃんのトイレが終わらないと言う返信があった。
< 64 / 148 >

この作品をシェア

pagetop