育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
毎月私たちも試食のためにケーキを食べさせてもらっているけれど、毎月納得のいく美味しさ。
その商品を考案する側に、梨花は異動したいと言っているのだ。


「私さ、今月のケーキを食べたお客様の笑顔が好きなのよね。そんな風に笑顔を引き出せる商品を考案できるのって素敵なことじゃない?」

「確かに……。なんであんなに美味しい商品が考案できるのか、気にはなってる」

「でしょ? それに、自分が考案したケーキを食べたお客様がどんな反応をしてくれるか、気になる」


梨花がそう言ったところで、先ほどオーダーした食事がテーブルへ運ばれてきた。
ふわりと、エビドリアのいい香りが鼻を通り抜けていく。

よく考えてみれば、このエビドリアだって考案者がいるからこそ、ここに商品として販売されている。どうすれば商品販売が維持できるかとか、どうすればいい香りが漂うのかとか、きっとすべて考えられていて、今ここに商品として展開されているはずだ。

でも、それは並み大抵ならぬ努力が必要だろうし、中途半端な気持ちでは商品開発は務まらないのではなかと思う。


「今しかないと思うんだ。やれること、やってみたくて」

「素敵……梨花がやってみたいのなら、私は応援する!」

「嬉しい。ありがとう」
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