束の間を超えて ～片想いする同僚兼友人に、片想いをした～ 【番外編追加済】

4. すべて受け止めたい

「おかえり」
「……なんで？」

　洋輔はとても驚いた顔をして、そして少しだけその表情を歪めた。

　きっと複雑な想いでいるに違いない。だから彩子は努めて通常の空気を装った。

「ごめん、ちょっと明日早出したくてさ、今日こっち泊めてくれない？」

　洋輔の自宅のほうが会社には近いから、言い訳としては納得のいくものだろう。

　彩子はドキドキして洋輔の返答を待った。

「……そっか。わかった、いいよ」

　その返答に彩子は小さく安堵した。追い返される可能性もあると思っていたのだ。

「一応夕飯作ってるんだけど、食べる？」
「うん、食べる。ありがとう」

　笑ってはいるもののやはり洋輔はどこか元気がないように見える。彩子がいることで感情の行き場をなくしてしまっているのだろう。さっさと吐きださせてやりたかったが、下手を打つと逃げだしてしまうかもしれない。

　だから彩子はそのときを見定めるため、息をひそめてじっと耐えた。