束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 約束の金曜日、彩子と洋輔は二人とも定時で勤務を終えると一緒に彩子の家へ帰宅した。

 途中でスーパーに寄り、二人で献立について話しながら夕飯の材料を買って帰る。

 その様子はどこからどう見ても仲睦まじいカップルにしか見えなかっただろう。


 家に到着すれば二人は並んでキッチンに立ち、一緒に夕飯を作った。一人暮らしの部屋だから二人でキッチンに立つのは狭かったが、彩子にはそれさえも愛しく思えた。


 すっかり夜も更け、彩子のベッドで甘く抱きあった二人は眠る前の会話を楽しんでいた。

「彩子、来週の土曜日、覚えてるよね?」
「覚えてるよ」
「一日俺にちょうだいね? 彩子の誕生日、ちゃんと祝いたいから」

 洋輔は一ヶ月前くらいから彩子に誕生日の予定を空けておくように言っている。洋輔がそういう人間だと知ってはいたが、こうも大事にされるとくすぐったくてしかたない。

「ふふっ、うん。誕生日のデートプラン考えてくれてるの?」
「うん。彩子を喜ばせたい」
「ふふふ、ありがとう。楽しみにしてるね」
「昼は外で食べるつもりだけど、夜は俺が料理作るから。もちろん泊まるつもりできてね」
「わかった」

 少し会話が途切れて、彩子が洋輔のぬくもりを堪能していれば、洋輔が軽くため息をこぼしたあとに突然笑いだした。
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