束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

5. 敵わない

 その日、大隆に昼に誘われた段階で、小谷とのことで何かあるんだろうとは思っていた。でなければ、わざわざ外には連れ出さなかったはずだ。

 ただ内容までは予想していなかった。何を言われるのかはわからないが、今の自分なら大丈夫だと思った。小谷のことはもう吹っ切れたのだからと。


 それなのに、プロポーズを受けてもらったと言う大隆に、洋輔はショックを受けたのだ。もう手の届かないところに行ってしまったのだと。


 洋輔はショックを受けた自分が信じられなかった。彩子のことを好きになっていると思った。間違いなく惹かれていると。

 小谷の婚約にショックを受けるなど、彩子に対する裏切りだと思った。

(そんな……なんで俺は……彩子が好きなはずなのにっ)

 自分の感情がわからなくて洋輔はひどく混乱した。

 ただ一つわかるのは、どうなったとしても彩子とだけは離れたくないという想いだった。

 この気持ちがあるなら大丈夫なはず。一日かけて気持ちの整理をつけようと思った。
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