束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 彩子は次に洋輔に対して怒りはじめたが、そこには本当の意味での怒りはなくて、ちょっと拗ねて怒ってみせているようなそんなものだった。挙句の果てに、昨夜の行為がお気に召したのかと洋輔をからかいまでしている。


 彩子に傷ついている様子がないとわかるとひどく安心した。こわばっていた何かがとけていく。すーっと心が軽くなっていくのがわかった。


 そうして次に洋輔を襲ってきたのは、強烈なまでの愛おしいという感情だった。鼓動が速くなって、身体中に勢いよく血が巡り、掌がかゆくなるほどに血が沸騰しているのがわかる。


(わかる。今はもうわかる。いや、それしかわからない……好きだ! 彩子が好きだ! どうしようもなく好きだ! 愛しくてたまらない!)


 気がつけば洋輔は彩子を強く強く抱きしめていた。



 あー、もう自分は彩子にはどうしたって敵わない、そう思った。
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