束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「恋人のほうが一緒に出かけやすいじゃん。松藤に恋人いるかどうか確認するのも面倒だし」
「はあ?」

 洋輔からなんとも間の抜けた声が出た。

「男女二人で出かけるとそういう目で見られるでしょ? なんとなく友人としては行きにくいところってない? 遊園地とかさ。まあ感覚は人それぞれだろうけど。でも恋人になっちゃえば、何も気にせず遊べると思わない?」
「え、それは考え方逆転してない?」
「してない、してない。松藤のこと嫌いじゃないから大丈夫。信頼もしてるから」
「……」
「お買い得だと思うんだけどな……え、もしかして期限切れとか思ってる? 大丈夫だよ、熟成されておいしいと思う」
「……」

 洋輔は目を丸くして彩子を見ている。そして一拍置いたあと、目に涙を浮かべて笑いだした。
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