束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

4. 緊張の挨拶

 折戸家の玄関前に洋輔と二人並んで立つ。

 彼氏を両親に紹介するのは初めてだから、なんだかドキドキしてしまう。

「さすがに、ご両親に会うのは緊張するな」
「え、洋輔でも緊張なんてするんだね」

 見た目からはまったくわからない。この男はいつでも何でも余裕でこなしているように見えるのだ。

「するよ。彩子を初めて抱いたときも俺緊張してたでしょ」
「ちょっ! バカッ! もう絶対緊張してないでしょ」

 とんでもないことを言う洋輔を彩子はバシバシと叩いてやった。

「ははっ。いや本当にしてるって。だって、俺は今日、何が何でも認めてもらわないといけないんだから」

 まるで二人の未来を望んでいると言われたようで彩子は嬉しくなってしまった。

「そっか……」
「またそんな嬉しそうな顔して。ふふっ、彩子のおかげでちょっと緊張解けた」

 頭を軽くぽんぽんっとされた。髪型が崩れないよう優しく触ってくれたのだろう。

 愛しそうに彩子を見つめるその表情に違う意味でドキドキとしてくる。

「私は恥ずかしくなったんだけど……」
「はははっ。でも、今日裕哉くんがいてくれるのは心強いな。彼は味方になってくれそうだし」
「あー……裕哉、洋輔のこと気に入ってるからね」

 彩子にとっても裕哉がいるのは心強い。すでに洋輔とは顔を合わせているから、緊張も少しは和らぐというものだ。
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