束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 大学時代から付きあっていた彼氏は、社会人になって半年くらい経ったころに別れた。彼が地元に戻って就職し、遠距離になってしまったことと、互いに仕事が充実していたこともあって、二人で話しあい別れを選んだ。元々友人関係からなんとなく付きあいだしたので、遠距離で続けられるほどの情熱はなかったのだ。


 恋人と別れて約四年。そろそろ新しい恋人がほしいと思わないでもない。

 社会人五年目ともなれば、がむしゃらに励んでいた新人のころとは違い、力の抜き方もわかってくる。それは仕事だけではなくて、プライベートでもそうだ。家事にも随分慣れ、時間の余裕が生まれてきた。財政的な余力もある。休日を一緒に過ごす恋人がほしいと思うのは自然なことだろう。


 しかし、人生そうままならないものである。元カレのようになんとなくで付きあえる人がいたら楽だったのかもしれない。きっとそれなりに幸せな日々を送れただろう。

 だが、そのささやかな夢を見るにはもう遅かった。恋というのは自分でどうこうできるものではないのだ。今の彩子に恋人を得るという夢は叶えられない。


 なぜなら彩子は、決してその想いの届かぬ相手に、恋をしてしまっているのだから。
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