束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「もうまたそういうこと言う」
「本当のことだからしょうがない」
「開き直らないでよ。もうしょうがないなー。じゃあ、週末の時間は愛しの恋人に捧げるとしましょう」
「ありがとう。彩子がいてくれるから頑張れる」

 彩子は胸がいっぱいになった。

 それが洋輔の本心であると思いたい。恋心はなくとも洋輔が心を預けられる存在であるなら彩子はそれで本当に幸せだ。


「これ、渡しとく。これ使って部屋入って」

 洋輔に渡されたのは合鍵だった。

 確かに先に部屋に入るなら必要だろう。

 まるで親密な恋人同士のようなやりとりに彩子は嬉しくて、でも少し切なくて、ちょっぴり泣きたくなった。

 彩子はそれをごまかすようにその顔に笑みを浮かべて「ありがとう」と言ってそれを受け取った。
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