束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

2. 穏やかなひととき

 週明け、会社で洋輔の様子を見てみれば、確かに本人の言う通り忙しそうにしている。

 引継ぎ作業なのか後輩のところへ行って何やら指導したり、自分のデスクで作業したり、ミーティングに呼ばれたりとせわしなく働いている。

 そんな様子を見ていれば、洋輔においしいものを食べさせてやりたいという気持ちがふつふつと湧いていくる。祝日だった昨日はいろいろなレシピサイトを見て研究していたから、彩子はそれを思いだしながら今日のメニューを考えていた。



 定時で退勤した彩子はスーパーで食材を買ってから洋輔宅へ向かった。

 もらった合鍵を差し込んで回せばカチャリと鍵の開く音がする。当たり前のことなのだが、彩子はそれに一人感動していた。

 誰もいるわけないが、彩子は小さく「お邪魔します」とつぶやいてから中に上がった。

 電気をつけて荷物を置くと、手をきれいに洗ってから料理の準備に取りかかる。すでにこの家で何度か料理をしたことがあるので、彩子は迷うことなく準備を進めていった。
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