ミステリアスなイケメン俳優は秘密の妻と娘を一生離さない。


 私には見守ることしかできないけど、遠くから応援したいと思った。

 それにしても、家族に秘密にしているって何だか今の私たちみたいだな。会社帰りに原作小説を買ってみようか。
 そんなことを思いながら今日も出勤する。今はちょっとした繁忙期で忙しい。
 でも仕事にはだいぶ慣れてきたと思う。


「あーあ、なんかいいことないかなぁ」


 カタカタとキーボードを叩きながら、大きめの独り言をこぼす春日井さん。


「最近いい出会いないんですよねぇ」
「あら、桜子ちゃん彼氏いなかった?」


 同じく手を動かしたまま、秋野さんが尋ねる。


「いるんですけど〜。それとは別に新しい出会いって欲しくないですか?」
「そういうもの?」
「なんか彼氏とマンネリ気味だしぃ」


 これが若い子の感覚なのか、春日井さんは恋愛には常に刺激を求めているみたい。


「イケメンで身長も高くて高収入のハイスペとデートしたいです〜」
「桜子ちゃん、もう少しでお昼休みだから頑張って」
「はぁい。あ、この申請やっときましたぁ」
「ありがとう」


 何だかんだで仕事はちゃんとしてるところは流石だ。
 昼休みは三人で外ランチに行った。私はお弁当を持ってくることが多いけど、たまにこうやって一緒にランチさせてもらっている。


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