孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「妻がこちらでお世話になったと聞いたので、本日はご挨拶に伺ったんです」

 なめらかに言いながら、口もとは必死に弧を描こうとしていて、思わず胸を衝かれた。この人は笑うのが苦手なのに、懸命に笑みを浮かべようとしているのだ……私のために。

 彼が用意してきた手土産を「はあ」と戸惑いながら受け取り、修造さんが困った顔で私を見る。

「ひかりちゃん、いったいこれは……」

「驚かせてすみません。実はいろいろあって、結婚しました」

 自分でも驚くほどハッキリと口にすることができた。隣に彼がいるからだろうか、さっきまでと打って変わって気持ちが落ち着いている。

「ちょ、待って。頭が追い付かない」

 声を上げたのはリサさんだ。バンダナに覆われたこめかみを指先で押さえてから放心状態の純也を見やる。

「純也くんのことはまあ、置いておいて」

 ふうっと息をついて私の隣に視線を移した。

「あなた、何者なの? 急に現れてひかりちゃんの夫って言われてもね。まさか、いたいけなひかりちゃんを騙して良からぬことを企んでるんじゃ」

「リサさん、違うんです」

 疑わしそうに穂高壱弥を睨む彼女に、慌てて声をかけた。

 やっぱりきちんと話さないとだめだ。説明したところで理解してもらえるかは難しいけれど。

「私が自分で決めて」

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