孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 純也の後方に背の高い男性が立っていた。ぽかんとしている修造さんたちに、彼は小さく頭を下げてドアを示す。

「失礼。開いていたので勝手にお邪魔しました」

「え、はあ」

「は? なにおっさん」

 ジャケットスタイルの身なりのいいその人は、うつくしい顔に無表情を貼り付けたまま純也に向き直る。

「ここで話したくないのは、こちらのおふたりに聞かせたくないからか?」

「な、なにを言って」

「結婚もせず、『おまえだけ』なんて言葉で縛り付けて自分は外で好き放題か。いや、妻だからといって許されることじゃないが、結婚して責任を負う覚悟すらないんじゃ救いようがない」

 呆れたように息をつく穂高壱弥に、純也が声を荒げる。

「本当、なんなんだよおっさん。いきなり現れて勝手なこと言って。あんたには関係ないだろ!」

「それが関係大有りなんだ」

 言いながら純也の横をすり抜けて私のもとにたどり着く。目いっぱい睨み上げてくる元カレの視線をまるで意に介さず、彼はするりと私の腰に手を回した。

「ひかりは俺の妻なんでね。悪いがあきらめてくれ」

「は……妻?」

 話を飲み込めないのか、純也がぽかんと口を開ける。同じように言葉を失っている店主夫妻に向き直り、穂高壱弥は続けた。

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