孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
「ひかりちゃんはとてもまっすぐで働き者で、すごく良い子なんです。この子を悲しませたら、俺たちは絶対に許しません」

 普段穏やかな修造さんの強い口調に、穂高壱弥はゆっくり頷いた。

「肝に銘じます」







 お店を後にして、穂高壱弥が乗ってきていた車の助手席に乗り込む。彼が所有する三台の車のうち一番コンパクトな左ハンドルのスポーツカーだ。外観も内装も白で統一された車はクラシックでおしゃれだけれど2シーターだから広くはない。

 穂高壱弥が助手席と運転席を遮るように設置されたセンターコンソールのボタンを押すと、閉じられていたルーフが後部に収納されて頭上が開けた。

 涼やかな空気が肌に触れ、どこからともなくキンモクセイの香りが漂ってくる。厳しい残暑もようやく落ち着いて、短い秋が駆け抜けていこうとしている。

 運転席を見ると、ハンドルを握った穂高壱弥はすっかり無表情に戻っていた。

「あの、ありがとうございました」

 居住まいを正してぺこりと頭を下げる。

「あのお店は私にとって大切な場所だから、来てくれて嬉しかったです」

 休日でもお構いなしに働く彼は常に忙しそうだったし、私のプライベートな人間関係には興味がないものだと思っていた。

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