孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 上昇するエレベータの振動を感じながら、私はパネルの前に佇む深水さんを見上げた。

「ホテルで採用面接をするんですね」

 それも海外セレブが宿泊するような、こんな一流ホテルで。心の中で付け加えて、私は自分の姿を顧みる。一張羅とはいえ大量生産のセットアップジャケットにスカートという出で立ちは、いかにも面接に来ましたという様相だ。ロビーでこそこそしていた私は、かえって目立っていたに違いない。

「社長兼CEOの穂高は、一日に何件も重要な商談が入っているときは、よくここを利用して執務を行っているんです」

「そうなんですか」

 穏やかな笑みでさらりと説明され、つい納得しかける。

「え、社長?」 

 素っ頓狂な声が出てしまった。

 最初の面接でいきなり社長が出てくるの?

 私の表情を察したのか、深水さんは頬をもちあげて笑みを深くする。

「今話題の『就活ランチミーティング』みたいなものだと考えてくださればよろしいかと」

「ああ、なるほど」

 そういえば転職サイトのお役立ち情報にそんなことが書いてあった。面接ほど堅苦しくなく気軽に経営者と話ができるランチミーティング。本格的な面接をする前に開催されることが多くて、企業側だけじゃなくて応募者側にもメリットが多いのだとか。

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