孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 灰汁なく整った顔は、男らしいというよりは中世的な美しさをまとっている。きめ細やかな肌に儚げな印象をもちつつ、きりっと冴えた目もとに意思の強さが窺えた。

 この人のことを、知りたい。

 内心に強く芽生えた心を隠しつつ、私はにっこり微笑んでみせる。

「自分の会社なのに、社内で物凄く嫌われてたりして」

「ほう」

 皮膚の薄い口角が少しだけ上がった。

 あ、ちょっと腹が立ってる顔だ。

 いつも無表情でわかりづらい彼の感情を、察知できるようになっている。それが嬉しくて、にやけそうになるのを必死にこらえた。

「なるほど、わかった」

 ふいに穂高壱弥が席を立った。ぽかんと見上げている私に、きれいな顔をわずかに崩して不敵な笑みを浮かべる。

「それなら仕事をやろう。勤め先が決まるし俺のこともよくわかる。一石二鳥だ」

「仕事って?」

「七時半には家を出る。お前も早く食べて支度しろ」

 私の前の半分以上残っている朝食プレートに目を落としてから、飲み終わったコーヒーカップをシンクに運んでいく。広い背中に慌てて声をかけた。

「支度って。どこに行くんですか?」

 振り返った顔に無表情を貼り付けて、彼は当たり前のように答えた。

「出社するに決まってるだろ」



 …



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