“おにいちゃん”と、ずっと一緒。

2人は隣同士

プリシラが小学6年生、リムが受験して入った難関中学2年生の2学期のこと。
プリシラは、ある休日、いつものように気楽に隣の漢字(はとこ)のリムの家に行き、
玄関で応対したリムの母親ミリィに、
「リムママ、リムお兄ちゃんいますか?」と明るく聞くと、
「ええ、いるけど……」ミリィの声は、いつもより暗く小さかった。
しかし、リムの母で精神科女医のミリィは、いつものように、すぐプリシラを中に入れた。

 玄関から続く廊下に出てきた、リムの8才年が離れた弟ケビィも、プリシラをチラと見て、
いつものように遊びで意地悪を言うか、笑顔で迎えず、プイとまた奥に入って行ってしまった。

プリシラは、何かおかしいな、と思ったが、こういう時もあるか、美容師のリムの父が忙しくて皆寂しいのかな、と思って、特に気にしなかった。それに、度々リムにこうして会いに来るのは小さい頃からしていたし、特別気を遣うことはせず、リムの2階の部屋に気楽な気分で上がった。

 プリシラの家は平屋だったが、隣のリムの家は、ケビィが産まれてから、2階を建て増して、リムの部屋が造られていた。
 
 プリシラは意気揚々と、教科書や添削されたテストペーパーなどが入った鞄を持って、2階のリムの部屋へ上がって行った。ケビィは、また出てきて、コッソリとそれを見て、知-らない、という様子で1階の自室に戻って行った。ミリィは、心配しながらリビングで休んでいた。

 プリシラは2階に上がると、リムの部屋のドアをノックした。
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