ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜5
やっぱり肉が好き
 さて、日が暮れる前に夕飯の支度をしてしまいたいということで、エリナが目を覚ましたところで彼らは野営地に向かうことになった。
 ルールーとエリナは料理をするため、髪をまとめて、膝下のワンピースの上にエプロンを付けている。ウィリオ王子も白シャツに黒いパンツといった、動きやすく清潔な服装だ。

「ルディさん、わたし、ひとりで歩けますってば」

 狼隊長の片手におさまった子猫は、保護者の腕をトントンしてなんとか下ろしてもらおうとがんばっていた。

「いや、油断してはならん。水泳は自分が思っているよりもずっと疲労するものなのだからな」

「お昼寝したから、もう元気になりましたよ」

「いや、駄目だな」

「シャーッ!」

「ほら、シャーにいつものキレがない」

「そ、そうかにゃ?」

 エリナの抵抗も虚しく、子猫はルディに抱っこされたままである。

「それに、今夜も皆とカレーライスを作るのだろう? 戦いの前に体力を温存しておくことは重要なのだからな」

「わたしはなにと戦うんですか」

「……とんでもない料理をするやつを止める戦い、とか?」

「アライグマのトミーさんのことなら、もう心を入れ替えたから大丈夫だと思います!」

 ピンポイントで指名されたトミーは、その頃くしゃみを三連発していた。

「ちゃんとまな板と包丁を使うって、決意してくれましたから」

「……俺はさほど料理に詳しくないが、それはまだ安心するレベルに達していないと思う。そのような油断が不測の事態を招くのだぞ。彼の成長を見極めるためにも、無駄な体力を消耗してはならないのだ」

「うにゃーん、もう!」

 ルディの過保護っぷりを充分わかっているルールーとウィリオ王子は、心の中で『エリナ、いい加減に諦めなさい』と呟いた。

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