フォーチュンクッキー
 屋台の鉄板のように熱したアスファルトは、足元から頭を突き抜けるように体を暑さで貫く。


 ようやく商店街のアーケードに入り、直接的な太陽の光から免れるとほっと胸をなでおろした。

 お店からの冷気も時々感じるから、今まで通ってきた道より少しだけ歩きやすい。


 すこし重たいトートバッグは、多分あたしの汗も吸い取ってしまってると思う。


 緊張もするけど、近づくにつれてやっぱり会いたかったっていう気持ちが増していく。


 勉強を見てもらうはずなのに、いつしか目的が摩り替わってる。

それくらいあたしのこの想いは大きくなってしまったんだ。


 ちょうど中間地点をすぎたあたりだろうか。

 前に太一さんと来た、あじさい祭りの休憩所の目の前で、大きなあのひとが立ちはだかる。


「あれ、未来ちゃん?」


 相変わらず人懐こい笑顔で、あたしも少しだけほっとした。

「お久しぶりです、怜さん」

 ちょこんと頭を下げると、あの大きなボールを簡単に操っていた手のひらであたしの頭を撫でてきた。


太一さんより少しだけ、ごつごつした感じがした。


「オレも、太一のとこいくんだ」


 なんであたしが喫茶店に行くのバレてるんだろう?


 どうしようもない恥ずかしさで、唇をきゅっと結んでしまった。


 一緒に歩くと、チビなあたしとは対照的なおっきな怜さん。

あたしはリンゴのようにほとばしる顔なのに、キラリと喉に汗が伝う怜さんはどこか涼しげにも見えた。


 やっぱり運動してると暑さにも強くなるのかもしれない、と勝手に納得してた。


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