フォーチュンクッキー
「言い訳は、太一にね?」

 そんな笑顔に、一瞬チビ助が顔を赤らめたのを見逃さなかった。


「れ・いっ!」

 がばっと怜を引き離すと、おかしそうにケラケラ笑ってる。

後ろでくすくすとサトが笑っているのも聞こえ、チラリと振り向いて睨み付けておいた。


「じゃあ、二人とも。仲良く、な?」

 ひらひらと両手を挙げて、騒がしく怜とサトは人ごみに消えた。


 救世主に見えた親友たちは、いっぺんにして悪魔になりかわるから困ったものだ。

少しずつ近づく賽銭箱。


 確かに、チビ助にも受験でストレスもたまっているはずだ。

そんな子を相手にケンカを買うなんて、オレもどうかしてる。


 ずっと黙ったままのチビ助。

和解のために頭でも撫でれば、きっと大丈夫。


そう思って手を伸ばしたときだった。



「太一さんって……サトさんが好きでしょう?」


 俯いていたから、表情は読み取れなかった。


「な、なんだよ、急に……」

 昔のことなのに図星を指されたようにオレは、動揺を隠せなかった。

それがばれてしまったのか、チビ助はふっと肩を落としてじいっとつま先を見つめる。


「そりゃ、あたしには聞く権利なんてないかもしれないけど……」


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