フォーチュンクッキー
 目を一瞬丸くさせたけど、顔だけぷいっとそっぽを向かれてしまった。


 ヘンなことを言っちゃったかな?

思わず俯いてしまったけれど、ぽつりとサトさんは呟いた。


「……─太一も、こういうのにやられたのね」

「はい?」


 サトさんの言っていることが理解できなくて、思わず見上げて聞き返す。

けれど、あたしの疑問には答えず、ぶんぶんと首を振って肩をすくめて見せるだけだった。


「…なんでもない。
それより、来週が卒業式だったわよね?太一の出発が次の日だし……」


 全てを知っているサトさんは、太一さんにとっての大事な友達。

ヤキモチを妬いても仕方ない相手なのだけど……。


やっぱり、すこし悔しくなるのはなんでだろう?


 あたしが押し黙っているのに気づいたサトさん。

腰に手を当てて、たしなめるように視線を合わせてきた。


「太一と一緒に見にいってあげるから、その帰りにウチに寄りなさいよ?」


 迫力のあるキレイさは、怖くない、とは言い切れない。

ただ、あたしを気遣ってくれてるのはわかったから。


 その優しさに、あたしは素直に甘えた。


「よろしくお願いします」


 舞い散る花びらの間で、遠くに聞こえる太一さんの笑い声を背中で受けていた。

後押しされるように、多少の歯がゆさもかみ締めながら、あたしは腰を曲げて頭を下げた。



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