心の傷の痛みさえ

Past

そんな節操の無いオトコと別れたのはもうかれこれ5年前。
どうやら向こうは失恋した私が会社を辞めると思っていたらしいのだけど、私の負けん気の強さがそれを許さなかった。
平然を装って仕事をする私に忌々し気な視線を送ってきたけれど、素知らぬ顔で仕事を続けた。
入社前に社内恋愛が破綻した場合はどちらかが辞める事、なんて契約書にサインをした訳ではない。
こんな男の為にせっかく入った会社を辞めるなんてまっぴらゴメンだ。
表面上は至って平静に日々の仕事をこなしていた。

その代償、と言っては何だが仕事が終わった後の私は荒れに荒れた。
他人に迷惑をかける事は決してしなかったけれども、酒量が数倍に増えた。
それだけ飲んでも全く眠れないので、更に飲む。
食費の半分以上がアルコールだった時期もある。
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