真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
息吹ちゃんも思案顔で頷く。
「それから少しして、発見者の悲鳴が聞こえて。サッカー部の、多分一年生の子が中庭に出て来て、『何かあったんですか?』って俺達と話しました」
「それで、もう一度悲鳴を聞いて、裏庭に向かったんですよね?」
息吹ちゃんが尋ねると、唐沢くんは頷いた。
「鈍い、大きな音が聞こえた時も何事だと思ったんですけれど、大会のミーティング中だったから……。もっと早く時田さんの所へ行っていたら、時田さん、助かったのかもしれないのに」
後悔の声で、唐沢くんは言った。
ゆみちゃんが唐沢くんの背中をそっと撫でる。
「……お役に立てましたか?」
と、唐沢くん。
「はい、とても助かりました。また何かあったら尋ねてもいいですか?」
息吹ちゃんに唐沢くんは頷いた。
唐沢くんはゆみちゃんと一緒に部室を出て行った。
ふたりはそのまま下校して、デートに行くらしい。
「息吹ちゃん、大丈夫?」
私は息吹ちゃんが心配だった。