真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

第二話 脅し


その日。

県立第二高校の、放課後の文芸部の部室で。

吉井さんは泣いていた。



「……ごめんなさい、間に合わなくて」



私と息吹ちゃんは頭を下げる。

吉井さんは首を振り、
「間に合っていても、犯人が……、加瀬ちゃんなら意味がない」
と、しゃくり上げながら言う。



「わ、私は……、加瀬ちゃんの無実を信じてた。だけど、加瀬ちゃんのために、な、何も、してあげなかった」

「吉井さんだけじゃないです。私も、結局、加瀬さんに何も出来ないままです」



吉井さんに寧々様が部室に置いているティッシュケースを差し出す。



「加瀬ちゃん、これからどう、なるの?」



吉井さんはティッシュケースから、何枚かティッシュペーパーを引き出す。



「私達にはわかりません」

「捕まっちゃうの?逮捕?」

「……」

「どうしよう……っ」



吉井さんの背中を、寧々様がさする。

みんな黙って、ただ、泣きじゃくる吉井さんを見ていた。

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