真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「あの……」



息吹ちゃんが言いにくそうに、吉井さんに向けて尋ねる。



「吉井さん、本当は知ってたんじゃないですか?」

「えっ?」

「加瀬さんが、その……、時田さん落下事件に関わりがあるって」



「えっ!?」
と、私の声が裏返る。



息吹ちゃんは、吉井さんをまっすぐ見つめる。




「だから、私達に依頼したんじゃないですか?」

「……」
と、吉井さんは黙っている。



寧々様が、
「どういうこと?」
と、息吹ちゃんを見た。



「私達に依頼する理由が、どう考えても納得いかない。……ミステリーを読んでいるから、推理だって出来るはず……って、吉井さんはそれだけの理由で、私達に話を持ち込んだ」

「……」

「本当は私達が加瀬さんは犯人じゃないって間違った推理をして、文芸部の冊子に発表したらいいと思ったんですよね?」



息吹ちゃんの言葉に、私は頭がこんがらがる。

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