真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「いい?」
と、息吹ちゃんは言う。
「竹中先輩は時田さんの事件のすぐあとに失踪している。橋谷先生がまだ生きている間に、きっと市川さんと橋谷先生が殺したんだよ」
「……えっ、橋谷先生が協力者!?」
驚いて大きな声を出してしまう。
息吹ちゃんは人差し指を口元に立てた。
「それだと辻褄が合うと思わない?」
竹中先輩は市川さんを脅していた。
しかもその脅しの内容は。
橋谷先生との不倫について。
「……でも、なんでだろう?」
「ん?」
と、息吹ちゃんが唐揚げを頬張る。
「なんで市川さんと橋谷先生は竹中先輩を殺すんだろう?バレバレの不倫関係について脅されたからって、今更殺人を犯してまでバレたくなかったなんて、なんだかチグハグじゃない?」
「確かに……」
と、息吹ちゃん。
私はラップから取り出したスプーンで、チキンライスを頬張った。
甘めのケチャップの味が、なんとも美味しい。