【短】みやまの花嫁
男の子の背中を追いかけながら、わたしは何度も串を見て、ぱくりと、2個目のお肉を食べてみた。

どき、どき、どき。

とても悪いことをしているみたいで、心臓が跳ねる。




「おばちゃん、ラムネ2つ……あ、じゃなくて1つちょうだい!」


「はいよー、1本100円ね」


「はいっ」




もぐ、もぐ、もぐ、と口元を隠してお肉を食べていると、男の子ががま口の小袋から銀色のものを取り出して、屋台にいる人に渡した。

焼き鳥の串を口に咥えて。


交換するように女の人が男の子へ手渡したのは、不思議な形の瓶。

青くて、上の方がくびれている。


男の子はわたしの前に来ると、瓶と透明な箱を器用に片手で持って、銀色のおはじきみたいなものをわたしに差し出した。

戸惑いながら右手を出して受け取れば、男の子は咥えた串を空いた手に持ち直して笑う。
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