【短】みやまの花嫁

焼き鳥とラムネ



男の子の真似をして、口元を隠しながら、わたしも串の先のお肉を食べてみる。

……美味しい。




「んめー! やっぱ焼き鳥っていいな~!」




口を開けて喋り出した男の子を見て、びっくりした。

もう30回噛んだのかな。

男の子って食べるのが早いんだ……。


もぐ、もぐ、もぐ、もぐ、もぐ。

しっかり噛んでから、ごくりと飲み込んで、わたしも喋る。




「……美味しいね」


「だろー! 次はこっちな、こっち!」




男の子は透明な箱を持った手で別の屋台を指さして、2つ目のお肉を食べながら歩いて行った。


あ、歩きながら、食べるの……?

周りの人も食べ物を持ちながら、食べながら歩いて、楽しそうにお話している。

ここでは、そういう“作法”みたい。
< 13 / 72 >

この作品をシェア

pagetop