【短】みやまの花嫁
「あっ……」
「ん?」
小さな太陽はお椀に収まったものの、着物の袂でラムネの瓶を倒してしまって固まる。
飲み口から中身がこぼれていくのを見て、わたしは慌ててポイをお椀に入れ、瓶を立て直した。
「どうした?」
「……ごめんなさい。ラムネ、こぼしちゃった……」
「あ~。ハハ、おれもよくやって母ちゃんにおこられるんだよな! 中身残ってるか?」
「……ううん」
瓶に少し残っていたラムネは、全部石畳を濡らしてしまっている。
空になった瓶の中で、透明な球がからんと虚しく音を立てた。
「そんなに落ちこむなよ! おれのラムネ飲ませてやっからさ」
「……! いいの……?」
「おう! 弥世の笑顔と引きかえなら、いくらでもやる!」