【短】みやまの花嫁
空っぽの瓶を見て、きゅっと握る力を強めると、永悟は少し黙る。
「……そうだな、きれいだもんな。うん、やっぱおれも思い出として持って帰る!」
「うん……」
「そんじゃあ、“まい”の時間も近付いてるし、かき氷買いに行くか!」
「……かき氷」
今度は、どんなものなんだろう。
美味しいものなのかな。
楽しいものなのかな。
少しわくわくしながら、笑顔の永悟に付いて行くと、突然前を歩くその足が止まった。
「げっ、あいつら……! や、弥世、やっぱ向こうで遊ぼうぜ!」
「……?」
永悟の視線の先には、屋台の前に集まっている男の子達がいる。
どうしたのかな、と思っていると、右手を取られて、屋台の外れに向かうことになった。
「……永悟?」