【短】みやまの花嫁

みやまの花嫁

Side:弥世(やよ)


まばらに人が見える、神社の境内。

無人だった屋台に人が入って、お祭りの準備がなされていく。

太陽が昇った空の下、わたしは1人で神社の外れに進んでいった。




「木の幹……枝……葉っぱ……土……」




1つ1つに手を触れて、遠くから見るだけだったものとお話する。

ざらざら、どっしりとした茶色い幹、高いところにある、だんだん細くなっていく枝。

表面はつるっと、裏はざらっとしている冷たい葉っぱ、少し湿ったような、手にくっつく土。




「だめって言われたこと、しちゃった……わたし、悪い子かな……」




悪い子は、神様のお嫁さんになれないかな。

それとも、神様に捧げられるのかな。


神様に捧げられると、どうなるんだろう。

神様のお嫁さんとは、どう違うのかな。




「……永悟(えいご)……」
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