婚約破棄された社交苦手令嬢は陽キャ辺境伯様に愛される〜鏡の中の公爵令嬢〜

 辺境伯はけらけらと笑って、

「またまたぁ~! そんなこと言って、俺のこと好きになったらどうするんだよ~!」

「あり得ません!」

「本当に~~~?」

 彼はニヤニヤと笑みを浮かべながら、わたしの顔を覗き込んだ。
 急激に距離が近くなって、心拍数が急上昇する。

「ぜっ……絶対にあり得ませんのでっ!!」

 ついに耐えられなくなって、顔を逸らしながら叫んだ。熱い! 顔が熱い!

「デニーちゃん大好きぃ~~♡ってなっても知らないからな!」

「しつこいわね! そんなことには決してならないわよ!」

「じゃあ賭けようぜ! もし、マギーが俺に惚れたら……」と言うと、彼は少しだけ黙り込んで思案した。

「惚れたら……?」

 早く続きが知りたくて、つい続きを促してしまう。にわかに背中から緊張感が襲ってきた。

 辺境伯はすっと空気を吸って――、

「猫可愛がりの刑だぁ~~~っっ!!」

「きゃあぁぁっ!!」
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