【完結】婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~
 ディオン様は私の顔を見るとなんとも卑しいものを見るような目で私を見つめる。
 それは横に一緒にいたクロード伯爵令嬢も同じで、上品に笑って私に形式だけの挨拶をするが、目が笑っていない。
 そんな再会を果たした後に、玉座に構えた国王は状況を理解できないでいるディオン様を見つめて話し始めた。

「ディオン、お前は先日このクラリスとの婚約を自らの意思で破棄したな。なぜだ?」
「それはここにいるクロード伯爵令嬢への陰湿な嫌がらせの数々をおこなったからです。それらは万死に値し、そして私の婚約者、さらには未来の王妃に相応しくないと判断したからです」

 それを聞くと国王は大きなため息を吐いて少し目を閉じた後、覚悟を決めたように目を見開いて言う。

「お前は間違いを犯した」
「なっ?! 私が何の間違いを起こしたのですか?! ただの一度きりも私は人生で正しくないことをしてはおりません!」
「その驕りこそが自惚れで愚か! お前は自分で誤った未来を選択したのだ」
「それは一体どういう意味でしょうか?」

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