オレンジジュースを飲む頃
那津花がここまで真剣に話をしてくることは滅多に無い。
普段、相談に乗ってくれる時も、してくれる時も、おちゃらけた様な明るさで和ませようとする雰囲気になるから。
那津花の恋愛もそれなりに知ってるし、聞いてもいる。
でも、私の恋愛についてはあまり那津花は私から聞こうとはしてこなかった。
私があまり恋愛に興味が無いということを分かっているからなのか。
それとも、光瑠が私のことを好きだということに気づいていたからこそ、気を遣ってくれていたからなのか。
「那津花。私さ、光瑠に2度も伝えられて、正直どうすればいいのかが分からない。彼氏と彼女になるっていうのも正直想像つかないし、友達の方が楽だしずっと一緒に笑っていられる気がするから。でも、意識してる自分もいるんだよね。さっきの槙野玲那の事もあって、なんか胃がムカムカするというか、気持ち悪いというか……」
「それだよそれ!それを待ってた!」
「……はい?」
真剣な雰囲気から一転、いつものおちゃらけ全開の那津花に戻った。
水でびちょびちょの手で拍手しながらテンションが上がってしまっているもんだから、那津花の手から放たれる水飛沫が私の顔に吹きかけてくる。
きっと私の表情は、梅干しを食べて酸っぱいと苦渋になるあれと同じだろう。