オレンジジュースを飲む頃


段ボールへの塗り作業が終わったので、私と那津花で水道で絵具のパレットと筆などを水で洗い作業を始めた。

先程の光瑠と槙野玲那問題で何故か疲労度が増した私は、ぐったりしながら絵具で汚れたパレットと無心で洗っていた。


「唯穂、疲れた?なんか顔色悪いけど。体調悪いの?」

「……大丈夫。そういうのじゃないから」

「やっぱりさっきのやつ、気にしてるんでしょ。私ったら、ニヤニヤしちゃった」

「……やめてくれる。それに、あの槙野玲那から告白でもされたら、光瑠も嬉しいでしょ。私のことなんて忘れる忘れる」

「……そういう風には見えないけど。私には」


いつものからかい口調から一転、真面目な口調で言い切った那津花は、流していた水野蛇口を捻って止め、私の方へ真剣な面持ちで見つめだした。

私の心の中を、いつになく覗き込んでいるかのような表情(かお)で。


「光瑠からの返事、早く決着つけなよって思うけど、そういうわけにはいかないことは分かってるよ。唯穂が恋愛についてあまり興味が無いというか、分からないところとかは。でも、光瑠の気持ちにもなってみなよ。はっきり言ってほしいって。俺の事、意識してくれよって。」



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