ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
第一章
憂鬱な雨の日に
六月六日。ジメジメとした空気が鬱陶しい梅雨の時期のある日の放課後。
えっと、……うん。
まず私の思考停止した脳、今すぐ動け。
これは、見なかったことにする?それとも、お人好しのような善良な性格をここで発揮する?
究極の選択に迫られる私。
今、本当にすごく真剣に神妙な顔をして悩んでいる。
『悩む必要ねぇだろ、早くその倒れている男の子を助けろ』
と、私の脳に呼びかける優しいけれど口の悪い天使ちゃんと。
『は?そんな意味分かんねぇ見知らぬ奴なんか助けずに早く家に帰ろうぜ。雨降っててジメジメしてて、ほんと気持ち悪りぃんだわ』
と、これまたすんごい口の聞き方で酷いことを言う悪魔くん。
さぁ、どちらの意見を汲み取ってあげようか。まぁ、どちらにしても今私の脳内で“私が”思っていることなのだけれど、……。
はは、相変わらず私の脳内の子たちは口が悪い。
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