ワケありモテ男子をかくまうことになりました。



「えー…ほんと、どうしよ」


やっぱり、ここは助けてあげるべきなんだよね?


体中すごい傷がいっぱいあるし、誰かに殴られたのか唇の端が切れていて、そこから流れる真っ赤で鮮明な血がぽたぽたと雨に溶けて(したた)っている。



「君ー、意識ありますかー?ないならないって言ってくださーい……」



ガチの声音で、平然と無理難題を押し付ける自分。
かなりの鬼だと自覚しているが、こんな雨の日ならしょうがない。イライラしてるんだ。


……とまあそんなことは置いといて、とりあえずこれ以上彼の体を濡らさないように、私は持っていた自分の傘を彼の方に傾けた。


そして持っていた学生鞄が濡れないように膝とお腹の間に挟み込むような形で私はしゃがんだ。


ちょうど一日が終わって、学校から家へ帰ろうとしていたある日の放課後。


いつものように綺麗な夕焼け空は姿を表さず、代わりにどんよりとした雨雲が世界を一面に覆っている。


もちろん、気分は最悪。それに、わざわざこんな面倒事に首を突っ込みたくもない。



「んん゛っ。……さむ、」

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