ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
「いやいや、絶対ゆいのこと好きでしょ〜。そうじゃなきゃ同居申し込んだりしないって!」
周りに聞かれないように杏月が声のトーンを抑えて囁いた。
「そうかなあ……」
私たちはそうやって恋バナに花を咲かせながら昼休みを終えた。
❥❥❥
昇降口で靴を履いていると、ある人から声をかけられた。
「ゆーいっ!」
その声の主が誰なのか、すぐに分かった。
「犬飼くん……!?」
満面の笑顔で私に駆け寄ってくる犬飼くんに私は目を剥く。
「一緒に帰ろ」
「う、うん。いいよ」
学校での犬飼くんが笑顔なことや、自分の気持ちを自覚したことが頭の中で渦巻いて、ぎこちない笑みを浮かべてそう返事をする。
周りの子たちからの視線が容赦なく突き刺さる。
きっと明日にでもなれば私と犬飼くんの噂が学校中に流れるのだろう。
今までは目立たないように過ごしてきた私だけど、犬飼くんのそばにいれるならいくらでも目立っていいとさえ思える。
自分の気持ちの変化に追いつけず、私は戸惑ったまま犬飼くんと共に学校を出た。
帰り道を犬飼くんと肩を並べて歩く。
こっそりとその横顔を盗み見る。