ワケありモテ男子をかくまうことになりました。
これはまた愚痴が長引きそうだと思い、早めの内から杏月の口を閉じさせて、挨拶で誤魔化す。これはいつもの朝の風景。
高校三年生になってもクラスが一緒だった私と杏月は、高一、高二の頃から三年間ずっとクラスが一緒なのだ。
中学の頃は中一の時に同じクラスになっただけで、残りの二年はお互い違うクラスだった。
それでも、最初の一年目に凄く仲良くなったおかげで、クラスが違くともよくお互いの教室を行き来したものだ。
「えへへ、挨拶今日も忘れちゃってた…おはよう!」
「ゆいぃ〜」と言いながら抱きついて甘えてくる彼女は、最高に可愛くて今朝から感じていたイライラが一気に浄化される。
私たちのクラス、三年C組はまだ八時を過ぎた辺りなのにもうほとんどの人が登校している。
それもそのハズ……!
私たちはこの藍津高校誇る一番頭の良い人たちが集まったクラスなのだから。もちろん、学校全体の一番ってわけじゃなくて、学年での話。