君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
 魅惑的な一夜の記憶に意識を託す。

 獣のように性欲に支配されていても、やっぱり聡一朗さんは冷静だった。

 終始丹念に優しくリードしてくれて、私の身体を隅々まで愛撫し、所有の証を刻むかのごとくキスを繰り返した。

 そのひとつひとつにまるで甘い媚薬が含まれていたかのように、私は初めての経験だったというのにトロトロに快感に溺れてしまって、淫靡に乱れた。

 初めて味わった聡一朗さんは熱くて大きくて強くて激しくて、それでいて優しくて大らかで巧みで――。

 はぁ、と昂り始めた身体の熱を吹き消すように、私は小さく吐息した。

 心地よい疲労感が身体中を満たしている。

 中心には、じんとする痛みがある。 

 まだ聡一朗さんが残っているみたいで、それすらにも甘い喜びを覚える。
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