君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

2



 その後は、大変だった。

 授賞式を遅らせてしまったことを関係各所にお詫びするのに一、二時間かかり、私と聡一朗さんがやっと一息ついたのは陽が沈んだ頃。

 くたくたになったけれども、「これも心を通い合わせた後の初めての共同作業だな」なんて聡一朗さんが冗談めかして言うものだから、つい笑ってしまった。

 お腹がぺこぺこになったので、その後は二人でお祝いのディナーに行って、夜遅くに帰ってきた。

 一息つくなり、聡一朗さんが訊いてきた。

「そういえば、話したいことがあると言っていたけれど、なんだったんだい」

 疲れた今でも聡一朗さんが覚えていてくれたことが嬉しかった。
 できれば、帰宅したらすぐにお話したいと思っていたから。
< 228 / 243 >

この作品をシェア

pagetop