君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
「君のような妹ができて、姉さんは喜んでいるだろうな」

 微笑むように風に揺れる花を見つめながら、聡一朗さんが言った。

「ええ。きっと絵本のことで意気投合できたと思うわ」

 写真の中のお姉さんにも話しかけるように、私はうなずいた。

「それにね、お姉さんの絵本と私が持っているのが同じなことが多くて、きっと好きなおはなしの系統も同じだったんじゃないか、って思うの」

 それはすごいな、と聡一朗さんは目を丸くした。

「そうか、君もけっこうロマンチックなんだな。姉さんは特に王子様とお姫様が結ばれるおはなしが好きだったよ」
「ふふ、じゃなきゃ聡一朗さんのこと、好きになっていないわ」

 聡一朗さんは笑い、懐かしむような表情になった。
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