君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
エピローグ


 それから数日経った晴れた日のこと。

 私と聡一朗さんは、墓標の前にいた。

 今日は聡一朗さんのお姉さんの命日だった。

 この墓標には、聡一朗さんのお父さん、お母さん、そしてお姉さんが眠っている。

 ご両親が映った写真、そしてお姉さんの写真を添えて、聡一朗さんが話しかけた。

「久しぶり、みんな。いつもは一人で来ていたけれど、今日は紹介したい人と一緒に来たよ」

 私は携えていた大きな花束を供えて、ご家族に挨拶をした。

「初めまして。美良です。ご挨拶が遅くなってごめんなさい」

 私たちは線香をあげ、手を合わせた。
< 235 / 243 >

この作品をシェア

pagetop