君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
泣き続ける私の肩に、聡一朗さんの手が優しく触れた。
「すまない、ご両親のことを思い出させてしまったね」
私は必死でかぶりをふる。
「違うんです、ごめんなさい、そうじゃないんです……」
「俺は姉を失ってからもう何年も経つ。でも君はまだ時の癒しが効いていないだろう?」
「違うんです……」
たしかに両親のことを思い出した。
でももうそうすぐに涙は出ることはない。時の癒しは効いていた。
いっぱい泣いて泣いて、たくさんの周りの人に縋って、悲しみはほとんど出し尽くすことができた。
今の涙の理由はそれじゃない。
今にも泣き出したそうな聡一朗さんの瞳が、あまりにも辛そうに寂しそうに見える。
だから思ったのだ――時が効いていないのは聡一朗さんの方じゃないか、って。
聡一朗さんはきっと、お姉さんに恩を返せなかった自責の念から、人に縋るのを拒んでしまったんじゃないか。
涙を流すのを堪えてしまったんじゃないかって。
そんな聡一朗さんの押し潰されそうな苦しみを想像して、胸が引き裂かれそうになったから。
だから涙が止まらないのだ。
けどそんなこと図々しく言えない。
「すまない、ご両親のことを思い出させてしまったね」
私は必死でかぶりをふる。
「違うんです、ごめんなさい、そうじゃないんです……」
「俺は姉を失ってからもう何年も経つ。でも君はまだ時の癒しが効いていないだろう?」
「違うんです……」
たしかに両親のことを思い出した。
でももうそうすぐに涙は出ることはない。時の癒しは効いていた。
いっぱい泣いて泣いて、たくさんの周りの人に縋って、悲しみはほとんど出し尽くすことができた。
今の涙の理由はそれじゃない。
今にも泣き出したそうな聡一朗さんの瞳が、あまりにも辛そうに寂しそうに見える。
だから思ったのだ――時が効いていないのは聡一朗さんの方じゃないか、って。
聡一朗さんはきっと、お姉さんに恩を返せなかった自責の念から、人に縋るのを拒んでしまったんじゃないか。
涙を流すのを堪えてしまったんじゃないかって。
そんな聡一朗さんの押し潰されそうな苦しみを想像して、胸が引き裂かれそうになったから。
だから涙が止まらないのだ。
けどそんなこと図々しく言えない。