君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜



 図書館に行く前の上機嫌から一転、すっかり意気消沈しながら帰宅した。
 
 紗英子さんの言葉がずっと頭の中で繰り返されていた。

 聡一朗さんは私を選んでくれた。
 それは単にタイミングが合っただけに過ぎない。
 要求していた時に都合よく、そこそこ条件の合う私が現れた。それだけに過ぎないのだ。

 しょせんは契約結婚。
 他に条件がいい人がいたら、私なんか捨てられてもおかしくはない……。

 ……ううん、聡一朗さんはそんな冷たい人じゃないはず……。

 そんな不安と葛藤がぐるぐるして、気が滅入っていた。
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