君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜



 この日は週末で、私も聡一朗さんもお休みだった。

 休みの日も仕事部屋に籠ってなにかかしらお仕事をしている聡一朗さんだったけれども、今朝はリビングにやってきて私に話しかけてくれた。

「実は近いうちに祝賀会が開かれることになったんだ」
「まぁ、聡一朗さんのですか」
「ああ。俺は遠慮したんだがね」

 話を聞くと、聡一朗さんがこの前出版した本が賞を受けることになったそうで、授賞式の前日に大学主催で祝賀会を開くことになったのだそうだ。

「今回の本は大学も共著として名を連ねていてね。受賞が世間に公表されれば売れ行きもさらに伸びて、その収益で大学も潤う。だから少し大袈裟なことになったんだよ」

 さすが聡一朗さん。
 本が受賞するなんて、凄いことだ。

 普段からメディアにひっぱりだこの聡一朗さん。
 この受賞でさらに世間から注目されるのは間違いないから、大学もいい宣伝になると思って気分がいいのだろう。

 ますます聡一朗さんがすごい存在になっていくな……。
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