【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。
「いえ、デキる人ってほどじゃあ……」


 珍しくもない焦げ茶色の長い髪を照れ隠しのように耳にかける。

 少し釣り目のせいかキリッとした顔立ちに見えるらしい私は、多少優秀というだけで優等生扱いされる。

 実際には勉強はかろうじて上位にめり込んでいる程度だし、前の学校では事情があるとはいえあまり授業は受けられていない。


 それなのに優等生扱いされるのはいたたまれないんだよね……。


 でも、本来私がするべきことに関しては優秀だと自負している。

 ヴァンパイアハンター。

 昔からヴァンパイアハンターを生業(なりわい)にしている家に生まれたのが私だ。


 ヴァンパイアとハンターは百年以上前に和解した。

 でもそのときにいくつか法を決めたらしく、ハンターはその法を違反したヴァンパイアの取り締まりをする警察のような役割をするようになった。

 そのためずっとハンターとして生きてきた家は、今でも対ヴァンパイアの訓練を続けている。

 もちろん私もそういう訓練を受けてきた。

 高校生になってからは一人で依頼をこなすことも増えてきて、今回もそう。

 この学校の生徒会役員に、無差別に違反吸血をしているヴァンパイアがいるらしい。
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