狂い咲きの蝶
「…本当ですか!!!すぐに伺います!!!!」

母の甲高い声で目が覚めた。時計は午前六時をさしていた。
…いつのまにか眠ってしまっていたみたいだ。


「杏音と晴……無事みたい!!!傷はないって…!!!!」


電話を切るなり、母は泣き崩れたようだった。
リビングに向かうと、クマができた兄と父母が安堵の表情を浮かべていた。

あわてて車を出す父。
助手席に乗り込む母。

私は兄と一緒にうしろの席に乗り込んだ。


…あっという間に杏音たちが保護されている警察署についた。


…二人は無傷…と聞いていた。

しかし実際、晴には泣いた跡がくっきりあり、杏音の体には細かい擦り傷のようなものがついていた。


ひたすら母に抱きついて泣く杏音。
その横で泣き虫のはずの晴が珍しく黙ったまま突っ立っていた。

警察の人の話によると、杏音はいっさい事件のことについて話さないらしい。

晴が少しだけ話したらしいが、どうも数人に連れ去られたということしかわからなかった。
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